第13章 サインしたら、すぐ帰る

「相手が中野グループの株を2%も投げてきた。太っ腹だな。人のほうも、こっちは見張らせてる……」

佐藤夏輝は言い終えるなり、野次馬根性に火がついたように声を弾ませた。

「で、どういうこと? まさか中野社長、金に困って持ち株売ったとかじゃないよな?」

中野航平には、もう腹が決まっていた。

このタイミングで中野グループの株を手放す人間など――長谷川栞しかいない。

「その2%、買い戻してくれ。売りに出されている株も、可能な限り買い集めろ」

それだけ告げて通話を切る。

しばらく呆然としてから、今度は中尾美希へ電話をかけた。

「中野社長……私に、何か……?」

とあるマンションの一室。中...

ログインして続きを読む